ロシアのプーチン大統領は20日、クレムリンでショイグ国防相からウクライナ東部ドネツク州のアウディーイウカをロシア軍が掌握したと報告を受け国営テレビなどがこの様子を伝えました。
プーチン大統領は「すべての兵士たちに最高の栄誉を与えたい。ロシアの軍事作戦の歴史で特別な1ページとなった」とたたえました。
そのうえで「間違いなく成功だ、おめでとう。この成功を発展させる必要がある。兵力や武器、弾薬などを十分に準備しなければならない」と述べ軍事侵攻を推し進める姿勢を示しました。
ウクライナへの侵攻から今月24日で2年となるのを前にアウディーイウカの掌握は重要な戦果だとして国民にアピールする思惑があるとみられます。
また、プーチン大統領は、ウクライナ軍が去年、奪還したとしていた南部ヘルソン州のドニプロ川の東岸地域にある拠点クリンキの集落について、ロシア軍が再び掌握したと主張しウクライナ側の反転攻勢を撃退していると強調しました。
一方、アメリカのメディアが今月、複数の議会関係者の話としてロシアが宇宙空間に核兵器を持ち込み、人工衛星を標的にする可能性があるとする情報をバイデン政権が得ていると伝えていますが、プーチン大統領は「アメリカなどが最近騒いできたが、われわれは宇宙での核兵器の配備は断固として反対している」と否定しました。
米カービー大統領補佐官「ロシアは侵攻当初から補給面で苦労」
ロシア政府がウクライナ東部のアウディーイウカを掌握したと発表したことについてアメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は20日、記者団に対しロシア軍はアウディーイウカが東部ドネツク州などでの軍事作戦の補給や司令の拠点になると考え、攻勢を強めてきたという見方を示しました。
そして「ロシアは侵攻当初から補給面で苦労してきた。アウディーイウカを掌握したからといって戦場で軍を維持することに成功するとはいえない」と指摘しました。
その上で「ゼレンスキー大統領が撤退を決断したのは賢明な判断で、ウクライナ軍は貴重な資源を守ることができた」と述べ、アウディーイウカからの撤退はウクライナ軍にとって軍事作戦全体の変更を迫られるものではないとの見方を示しました。
一方で「撤退はウクライナが勇敢でなかったからではなく、アメリカ議会が対応をとらなかったからだ」と述べ、ウクライナへの軍事支援を盛り込んだ緊急予算案に反対する野党・共和党を批判しました。